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こぎん刺しの楽しい!かわいい!を発信 こぎんマガジン

こぎんガムテのできるまで

2018.05.11


昨年の7月にスタートした私たちこぎん刺しwebマガジンkoginbankは10ヶ月が過ぎ、もうすぐ2年目に突入します。おかげさまで月間2万PV。毎月述べ3000人の人たちにご利用いただいております。しかし、まだまだ自分たちが理想とするwebマガジンには遠く、もっとモドコDBも充実させたいし、こぎん刺しの姉妹のような菱刺しのことも多くの人に伝えていきたいし、こぎん刺しを日本に限らず海を超えて楽しむ人たちにも会いに行きたい。もっと楽しんでいただけるコンテンツを提供したい考えています。その一つにモドコDBを図案以外にもたくさん使っていただきたいという思いがありまして、まずは実際に自分たちで活用してみようということでガムテープを作る企画につながりました。

 

 

モドコDBでは、Adobeのイラストレーターで編集可能なPDFファイル(プリンタで印刷する場合もこのファイル) と、製図用のCADソフトの標準フォーマットのDXFデータ形式でモドコの編集をすることができるデータを提供します。CADソフトと言われるととても専門的なツールと敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが、線分の集合体であるこぎん刺しの図案作成には使いやすいツールなのではないかと思っています。無料のCADソフト(Draftsight (Dassault Systèmes))もありますので、興味のある方は試しに触れてみてはいかがでしょうか。今回のテープの図案も全てCADで製作しました。

 

ライバルはりんごテープ

 

きっかけは、昨年末に訪ねた弘前市のこぎん刺しのお店・津軽工房社の引間さんからの「こぎん刺しのガムテープ作ってみたら?」の一言でした。その言葉で思い出したのがりんごの段ボールとガムテープ。こぎん刺しのお膝元であり、りんごの名産地でもある弘前のホームセンターではりんご専用の梱包資材が売られています。りんごの段ボールにこぎん刺しの模様のテープを巻いたら、より一層津軽のりんご度が増すではないか。そしてガムテープならりんごに限らずいろんなお土産に封ができる。封筒にももちろん使える。津軽から発送される荷物全部にこぎん刺し模様のガムテープ使っていたら宅配業者がびっくりするだろうな。私の妄想がどんどんあれこれ膨らんでいきました。  

 

 

洒落たグッズとしてだけでなく、地場の文化への愛着が強い津軽の人たちに喜んで使ってもらえる存在にもなりたい。そして、ホームセンターのりんごテープを凌駕できたら面白いなぁということで、可愛いりんごに挑むべくこぎん刺し模様のガムテープの製作が始まりました。

 

 

媚びてみる

「作ろう!」と決めたものの、それだけでは漠然としすぎてどのモドコを使ってどんな模様を作ったら良いのか、全く手を動かせませんでした。こぎん刺しの模様でこんなものを作って見せたら喜んでくれそうな対象をイメージするとデザインの制約が発生してくるので進めやすくなるのです。

クロネコヤマト仕様

こぎん刺し模様のモチーフであるモドコには猫のまなぐ(目)猫の足があります。クロネコ。荷物を運んでくれる宅急便のクロネコヤマト!!ヤマトさんに媚びてみようと思ったら面白くなって、いろんな仕様が閃いてきました。クロネコヤマト仕様からのスタートでした。

こぎんバンク仕様

いろいろ閃いた最後にやっぱりkoginbank仕様ってつくった方が良いかな?で作った赤いこぎんバンク仕様。津軽の名産赤いりんごと、おめでたい紅白カラーでりんごのガムテープより可愛くて縁起の良いこぎんバンク仕様のりんごガムテデザインを考えてみました。  

 

 

 
弘前仕様

幾つかのパターンを作ってみる中で、こぎん刺しの伝統の色・藍と白は外せません。そしてこぎん刺しのお膝元・弘前市の市章にもなっている卍の字が入った紗綾形の模様も無視できない。こぎん刺しの伝統を守る弘前の仕様はデザイン必須でした。

 

お米仕様

りんごがあるならJAのお米専用のテープもあって良いじゃないか。ということで田の畦のモドコをシンプルに配列した模様でデザイン。津軽平野の延々と広がる田んぼのイメージです。

 

 

テープの幅は5センチですが、技術上テープのエッジに模様の印刷ができないことは寧ろ模様が引き立つ好条件でした。一方で模様が印刷される幅が4センチ弱。遠目に見てもこぎん刺しの特徴的な横線の集合体が判別できるような線の太さを考えると、小さなモドコを大きく配するデザインが好ましい様子。その意味では、田の畦を配したお米仕様がもっとも模様が綺麗でわかりやすい。しかし、他の仕様をこの程度の粗さまで模様を大きくしたデザインにするには、リピートパターンの長さも考慮してモドコの選択から考え直す必要がありました。

 

色を決める

クラフトテープは白とナチュラルの2色から選択、印刷インクは1色に限定。使う色が限られても、色を反転させるだけで雰囲気が全く違う印象を作ることができ、ヴァリエーションは豊富に揃えられます。いろんな色のテープを作れたら良いのですが、予算が限られているので生産は1パターンのみ。1個だけ決めるのはかなり悩ましいと思いながら、実物大サイズを印刷して見比べてみると不思議なこと発見!藍と白のパターンを見ると何故かホッとする。試しに藍と白から他のカラーに目を移すとちょっと体が緊張するんです。これは個人差のある心理現象かもしれませんが面白い発見でした。以前に、「いろんなこぎん刺しを見るけどやはり藍と白のこぎん刺しが落ち着くんだよね。」と誰かが言ってくれた言葉がこの瞬間腑に落ちました。実のところ色を決める前から、弘前市で開催されるこぎんフェスでの初お披露目を決めていたこともあり、弘前仕様で行くんだろうなと薄々思っていたことでしたが、確信を得て藍と白の弘前仕様決定に至りました。  

 

 

模様の流れ タテとヨコ

弘前仕様に決めたものの、模様は再検討です。当初、こぎん刺しの特徴的な模様の流れを表現しようと思うと、模様は垂直方向に続いたほうが綺麗に見えると思ったのです。タペストリーや掛け軸のイメージがあったのかもしれません。それと、古作のようにモドコを縦長にすると、テープの狭い幅の中で見せられるモドコの種類も増えてデザインも考えやすいのです。ですが、普段ガムテープを持って使う時みなさん垂直に持って伸ばしますか?大抵は水平に伸ばして持つ人が多いのではないでしょうか?その日常動作を考えると模様が垂直に流れているテープは使っていてなんとなく不自然な気がするのです。横にテープを伸ばしたら、模様も水平に続いていくことがより自然で安心なんじゃないか、というメンバーの意見で模様のレイアウトを縦から横方向へ変更です。

 

 

せっかく綺麗にできたと満足していた模様が損なわれそうで最初は変更を躊躇っていたものの、いざ着手すると遜色なくパターン構成が出来、更に安心感が増して皆が納得のデザインになりました。 めでたく4月28日に弘前市で開催されたこぎんフェスでの初お披露目。おかげさまで大好評いただき、東京から持って行った200個は完売することができました。現在は弘前市や青森市のお店で販売いただいています。

 

因みにいわゆるガムテープと呼ばれるものには布製の物と紙製の物があり、正確には今回のテープはクラフト紙で作られた紙製のクラフトテープになりますが、今後はたくさんの人に”こぎんガムテ”という愛称で親しまれ、楽しんでもらえるアイテムになれたらと思っています。      

text&photo:koginbank編集部 石井

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