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2017冬の弘前訪問記5〜こぎんのかわいいを見つける手芸店・しまや〜

2018.02.24


弘前で育った私にとって地元の手芸店と言えば「しまや」です。横島さんがご家族で切り盛りされています。こぎん刺しの材料はもちろんのこと、生地や手芸素材が豊富で、私は何か作りたくなると、しまやさんへよく通っていました。

 

 

しまやさんでは、糸をはじめ、こぎん刺し用の布のコングレスは小さいサイズにカットした販売もしています。糸と布の色合わせを楽しみながら購入できることも私がよく通っていた理由の一つでした。いろんな色合わせを試してみたい時に気軽に材料を揃えられます。

 

こぎん刺しキットの下段には小さいサイズにカットしたコングレス

 

カットコングレスも色が豊富に揃っているので実際に手にとって糸との色の相性を見比べることができます。また、店内にはこぎん刺しのポーチやアクセサリーのサンプルが至る所に並んでいて、実際に作る時の参考になるアイデアやヒントも豊富です。

 

 

個人的に気に入ったのは下のピンクのかわいいパクパク。本当は貝の形をした小物入れなのですが、触れた感触の気持ち良さと、何かのキャラクターの口みたいでかわいく見えてきて、ついパクパクさせて遊んでしまいました。

 

 

感動したのは無数に並ぶこぎん刺しサンプルの数々です。この刺しサンプルは、栃木県出身の奥様がご自身のこぎん刺しの勉強のためと、糸と布の色の相性を尋ねられるお客様への参考に、「変な色の組み合わせってどんなだろう?」を探るためにはじめたのだそうです。

 

 

この意外なアプローチは面白いです。言われてみると2色で変な配色とはなかなか想像つきません。「変な色の組み合わせ」のサンプルを見上げても、かわいい配色パターンはどれだろうと期待して見ながら自分のお気に入りを見つけていました。実際にこれだけ刺された奥様が得た結論は、どんな色合わせも変な印象は無く、それぞれに良い雰囲気が出るとのこと。こぎん刺しは好きに色を合わせて楽しむのが一番です。こぎん刺しでこんな風に色を楽しむことに、カラーセラピーのような効果を感じさせられました。

 

小さなアクセサリーのパーツも充実しています

 

 

上の写真のカラフルな動物の形をしたものはキーホルダーの製作キットです。
お腹の部分にお気に入りのくるみボタンを入れて作るもので、こぎん刺しに限らずいろんな布を入れて使うことができます。このキットはこぎん刺しの学校教材としても使われていて、子供たちが学校で作って来たものを親御さんが気に入って買いに来られることが多く、とても人気のある商品なのだそう。親から子へ伝えられていたかつてのこぎん刺しの伝承の流れに、こんなところで面白い逆流が生じています。おかげで県外から結婚や転勤で弘前に移り住む人たちにも興味を持ってもらえるのはなんとも嬉しい逆流です。

 

 

5年程前まではこぎん刺しのワークショップをするなんて弘前では聞いたことがありませんでした。地元の人にとっては親や身近な人が刺しているのを見て、聞いて覚えるものでしたが、この数年でこぎん刺しのワークショップは弘前でも体験できる機会が増えました。現在しまやさんではワークショップを開催していますが、参加者の中には社会人になり弘前を離れた人が県外で故郷の伝統工芸こぎん刺しを知り、弘前帰省の際にこちらへ体験しに来る人もいらっしゃるのだそうです。

 

この総刺しサンプルはどれも綺麗で見惚れてしまいます

 

私にとってこぎん刺しは今で言う、ご当地B級グルメのような、地元の人が楽しむご当地手芸という感覚でした。知ってはいたけど、伝統工芸という意識は弱かったのです。しかしこのkoginbankを始めてから、こぎん刺しに関わる全国いろんな方々とお会いすると、皆さんこぎん刺しが農民の防寒着だった歴史からご存知で、「伝統工芸」を自分たちの活動から伝えていこうと気概を持っており、いつも感服させられます。このような出会いに影響され、私自身もいつの間にか伝統工芸としてのこぎん刺しを意識するようになる一方で、伝統工芸と言われるととても格式高い存在に感じてしまい、身近に親しまれ楽しまれてきたこぎん刺しの愛嬌がどこかに行ってしまいやしないかと一抹の寂しさが過ぎります。多くの伝統工芸とは違い、特別な道具や技術がなくても誰でも楽しむことができる手芸としての魅力はいつまでも現役であって欲しいと思うのです。

 

柿渋染のこぎん糸は色が5色。柿渋は防腐・抗菌効果があると言われています

 

私達がしまやさんを訪れたのはこの旅の終盤でした。ピンポイントで12月の一番厳しい雪吹雪に見舞われ、寒さに耐え忍ぶ厳しい旅として終わりそうだった私達を、最後に温かく迎えてくださった横島さんご一家のおかげで、ほっこりいい気分で旅を締めくくることができました。この取材中、こぎんバンクスタッフが厚かましくもお母様に手袋を繕って貰いながら楽しそうに世間話をしていました。お母様も県外から弘前に嫁がれ、驚いた生活習慣の違いはいろいろあったみたいです。弘前のお正月は12月31日の夜から始まることを教えて貰ったスタッフは興味深い土地柄を知ってとても嬉しそうでした。

 

しまやの皆さんありがとうございました!

 

しまやさんは毎年春に弘前市内で開催される「こぎんフェス」実行委員でもあります。このイベントは青森県内だけでなく全国からこぎん刺しの作家さんが集まり、こぎん刺しの作品展示販売やワークショップが行われる、年に一度のイベントです。今年も4月28日(土)~30日(月)の開催が決定しました。詳細、応募方法はこぎんフェスの公式サイトより順次公開の予定です。

 

こぎんフェス公式サイト:http://kogin-fes.net/blog/author/jin

 

「しまや」について

 

しまやさんではこぎん刺しのクルミボタンのワークショップを随時受付ております。

詳しくはこちら:http://www.shimaya.info/kogin-workshop.html

 

所在地:青森県弘前市大字百石町(ヒャッコクマチ)13-1

電話番号:0172-32-6046

営業時間:9:00~18:30

定休日:毎週日曜日

URL:http://www.shimaya.info/index.html

インタビュー:koginbank編集部 text:石井/ photo:浅井






 


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