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モドコのデータを使って3Dプリンタで何かを作ってみる

2019.03.22


はじめまして、kogibank副編集長の鳥居です。わたしはkoginbank.comのシステム設計や運用を担当し、裏側でkoginbankを支えています。会社では主にIT関連の工業製品や家具のデザイン・設計をしていることから、こぎん刺しのような伝統工芸とは対極にある仕事のように見えますが、koginbank.comも含めて新しい技術で、伝統工芸をより魅力あるものとして伝えることに、常に関心があります。

 

koginbankをスタートしてから、トピックスのインタビューでお話を聞いたりしているうちに、こぎん刺しがとても面白いカルチャーだということに気づいてきました。何か私でもできることはないかと思い、koginbankの『モドコデータベース』のデータを使って、いつもデザイン作業でお世話になっている3Dプリンタで立体物にしてみようと考えました。

 

せっかくなので、モドコデータベースの活用法という意味も含めて、どのように作っていったか説明します。「何を書いているか、わからない!」と思った方は、ページの下の方に3Dプリンタで印刷中の写真や完成写真もありますので、するするスクロールして写真を見てみてください。

 

作業1:モドコデータベースからモドコを選ぶ

3Dプリンタで実現できるサイズをあたっていくと、目立てが19程度がいい感じにできそうな気がしましたので、目立て19から選んでいくことにしました。モドコデータベースは、各ページの下のあたりに、「キーワード」「サイズ」「出典」「分類」ごとに探すことができます。余白が少なく、立体にすると面白そうな「粘り花の重ね」を選びました。

 

作業2:PDFデータをダウンロードしてAdobeイラストレーターで開く

「粘り花の重ね」モドコです。
PDFデータはグラフィックデザイナーは多くの方が使っているAdobe社の『イラストレーター』で開くことができます。イラストレーターを開くと、「line」レイヤーだけを残してあとは非表示もしくは削除します。

 

モドコデータベースのモドコの線を「オブジェクト>パス>パスのオフセット」を使って四角形にします。

 

そうすると、モドコの模様が四角形の集まりになります。イラストレーターを使うと、このように自由に形を変えたり色を変えたりできるので、とても便利に使えます。

 

この状態で、「ファイル>書き出し>書き出し形式」を選択します。

 

 

わたしが使ってるAutodeskの「fusion360」という3DCADはdxfという形式が読めるので、dxf形式で書き出しします。

 

作業3:『fusion360』を使ってモドコを立体化する

これは『fusion360』の画面です。イラストレーターで書き出したデータを読み込むと上のような画面になります。読み込みは「挿入>DXFを挿入」です。

 

モドコ部分をクリックして押し出していくと、立体になっていきます。一度高さを決めるとあとはクリックするだけで立ち上がってくれます。

 

立ち上げていって、最終的にはこのようなカタチにしてみました。

 

次は、スライサーと呼ばれる3Dプリンタ用のデータを作るソフトにデータを持っていき、3Dプリントの設定をします。モドコの四隅にある丸は「ヘルパーディスク」と呼ばれるもので、これがないと完成品が反ってしまいます。

 

作業4:3Dプリンタで印刷する

実際に3Dプリンタでプリントしている様子です。しっかり立体にしていってくれてます。

 

できるとこんな感じです。四周にヘルパーディスクをつけたので、とてもきれいにできました。

 

完成しました!

「粘り花の重ね」の3Dプリントバージョンが完成しました!
左は板からモドコを抜いたカタチのもの。右はモドコの模様を立体にしたもの。ひょっとしてこの2つを組み合わせることができそう、と思ったあなたは、鋭いです。さて、くっつけてみましょう!

 

ばっちりきれいにくっついてくれました。影がいい感じです。

 

モドコをくり抜いたものを使うと、影がきれいに出ます。これは照明にしたら美しいでしょうね。いつもはコングレスの上で自らを表現するモドコですが、このように立体にしてみると面白い表情が出てきます。横方向限定で刺すというこぎん刺しの制約が表現の幅を広げているかと感心してしまいます。

 

モデルを作ってみると、実際の糸と組み合わせて使いたくなりました。次は「島田刺し」のモドコを使って、刺す部分だけ丸穴を開けて、koginbankのこぎん糸を刺してみました。斑染の「ストロベリーカスタード」を使うと甘い雰囲気が醸し出されていい感じになりました。

 

この3D「粘り花の重ね」「島田刺し」は、2019年/3/30日(土)、東京人形町で開催されるこぎん刺しイベント「こぎんブックマーケット2019」で展示します。記事をここまで読んで頂いた方は実物をぜひ見に来てください!

 

こぎんブックマーケット2019について

「こぎんブックマーケット2019」は、アートやデザインとしても世界中で愛されるこぎん刺しを目指し精力的に活動中の『kogin.net/イエティワールド株式会社』が、青森発祥の伝統的な刺し子であるこぎん刺し・菱刺しの作品展示や販売、こぎん本・手作り冊子、レシピやキット、天然染糸などこぎん材料も勢揃いする史上初のイベント。

開催日時:2019年3月30日(土) 11:00-15:00
会場:綿商会館(東京都中央区日本橋富沢町8-10)
入場料:無料
詳細は公式サイト:https://kogin.net/bookmarket/でご確認ください。







 


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