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桜色のこぎん模様

2018.06.16
2018年6月1日の陸奥新報


先日の6月1日の朝、こぎん刺しのお膝元、青森県弘前市ではピンクでこぎん模様の新聞が発行されました。

これは地元の社会人サッカーチーム・ブランデュー弘前FCがこの2日後に控えたホーム開幕戦を前に地域一丸となって盛り上がろうと、メディアスポンサーの陸奥新報が企画した特別号でした。このピンクの紙面に浮かび上がるこぎんの模様は今年のブランデュー弘前FCのユニフォームの背中を飾っています。僭越ながら、私たちkoginbankで図案を製作させていただきました。

 

 

ブランデュー弘前FCはJリーグ昇格を目指して東北社会人サッカーリーグで活躍する弘前市が本拠地のサッカーチームです。”スポーツを通じてホームタウンにおける『ひとづくり』と『まちづくり』を行い、心豊かな生活の進歩発展に貢献すること”という理念のもと、2012年にNPO法人 弘前Jスポーツプロジェクトが設立しました。今まさにロシアで開催中の2018FIFAワールドカップで世界中が盛り上がってますが、オリンピックや甲子園など、熱い応援の一体感や熱戦の感動を地域の中に生み出し、そのエネルギーがスポーツにとどまらず地域コミュニティの活性化・地域アイデンティティーの醸成へ繋げることを目指し、サッカーを通じた地域づくりを行っています。

 

社会人サッカーチームは全国に数多あり、プロのJリーグを目指すにも全国各地域のリーグ戦を勝ち抜いて上位に食い込んで行かなくてはいけません。なかなか険しい道のりですが、ブランデュー弘前FCでは全国からプロのサッカー選手を目指して集まってきた選手やJリーグ栃木SCからの移籍選手もいて、レベルの高いサッカーチームです。

 


 

ブランデュー弘前FCではこれまで毎年ユニフォーム刷新して来ましたが、今年はずっと思い続けていた、郷土カラーを出したユニフォームを実現したいと、こぎん刺し模様を採用することになったそうです。

NPO法人 弘前Jスポーツプロジェクト理事長の黒部さんがおっしゃいます。

「ユニフォームはある意味選手の戦闘服で、郷土の誇りを背負って行くことを考えた時に、こぎん刺しだなぁって。津軽の叡智の結晶だと思ってるから。」

 

 

ブランデュー弘前FCのチームカラーはピンク。世界的にも有名になった弘前公園の満開の桜色です。

 

「地域を象徴するアイコンであるサッカークラブのユニフォームに、弘前の桜色のこぎんなんて、これ以上ベストマッチはない!」

このユニフォームを見てこうおっしゃってくださったのは、紙面を担当した陸奥新報社の中村さんです。

津軽地域の新聞社である陸奥新報社では、ブランデュー弘前FCが東北1部に昇格した2015年から毎年開幕特別紙面を作成しています。今年はクラブを地域のハブに、というクラブの方針のもと、多様な分野からブランデューを支援する人たちがチームを介して結びつき、支援者も選手と一緒になって桜色のこぎんを纏ってもらおうと、ユニフォームと同じピンクのこぎん模様のラッピング紙面となりました。また、このこぎん模様によってサッカーに関心がなかった人にも注目してもらいたいという思いもありました。

 

特集紙面には使われたモドコの説明も入れてくださいました。

 

中村さんは、今回の特集に思いの外「かわいい!」という反応が多くてビックリされたとか。「紙面を作っていても弘前の桜のピンクとこぎんの組み合わせが美しくて本当に誇らしく思えました。」とも。この言葉には弘前出身の私も大いに同感でした。こぎん刺しは伝統の藍と白のコントラストがとても魅力的ですが、弘前はもちろん、日本の桜に浮かぶこぎん模様には心打たれるものがあります。

 

ホーム開幕戦当日は試合観戦以外にも楽しめるイベントが盛りだくさんでした。そこにはスタバ de こぎんのメンバーによる、こぎん刺しのグッズ販売と体験もありました。スタバ de こぎん主催の斎藤さんのお話によると、今回のグッズは地元のこぎん刺し作家、SWALLOWTAILさんとさしぼぅさん、斎藤さんの3人で準備された数々。気持ちいい青空のもとでのこぎん刺しをチクチクする体験にどれだけ人が集まるか気になったようですが、実際はこぎん刺し体験を目当てに来てくださった方がいたり、ツイッターで事前にこぎん刺しグッズを楽しみにされていたサポーターさんもいらっしゃり、大盛況だったようです。

 

チームカラーのピンクと水色を使ったこぎん刺しグッズがどれも素敵です。写真提供:斎藤美佳子さん

 

斎藤さんによる当日のイベントの様子はこちらから

http://saitoumikako.com/blog/hirosaki/0603blancdieu.html

ねぷた囃子で応援する様子も動画で紹介されています。

 

今年のユニフォームに提供した図案は、地域を代表して全国で戦うために地域のオリジナリティを纏うという単純なことではなく、選手の活躍を広く告知するこの企画で、地元の誇れる文化や自然の魅力を衝撃的に再認識する機会を私は与えてもらいました。企画の準備段階からの今年のピンクのこぎんは協賛者にとても好印象だという話を聞いたり、先日のこぎんフェスでも来場者に地元の家族連れがとても多かった印象からも、こぎん刺しは全国のどの伝統工芸よりも庶民の中に溶け込んでいると感じます。まさに柳宗悦の民芸が今もここに健在であり、地元の誰もが地域の誇れるものであることを知っていることには驚きました。

 

ユニフォームの図案のお話を頂いた時、一番最初に思い浮かんだのはプロを目指して弘前に集まってきた選手たちでした。彼らは普段は弘前のコミュニティでサラリーマンとして働いています。弘前がどんな街かも知らないで来た人もいたでしょうし、訛りの強い方言に苦労している人もいるだろうなと。何かしらの不安を抱えていたとしたら、彼らがポジティブに前進できるユニフォームにしたいという気持ちがありました。それが叶っているかはわかりませんが、ユニフォームやこの特別紙にも、koginbankの図案が感動的な形に活用してもらえ、とても充実した経験になりました。サッカーチームの存在が地域の魅力を深めるきっかけになった興味深い出来事でした。今年のブランデュー弘前FCの活躍に期待しています!

 

ブランデュー弘前FCについてはこちら

陸奥新報社についてはこちら

 

スタバ de こぎんについて

斎藤美佳子さんの主催で、月に一回弘前市内のスターバックスコーヒーで開催されているこぎん刺しの集まりです。自由参加なので、こぎん刺しを介して、子育ての息抜きや地域の情報交換など、ゆるやかなつながりの場になっています。 詳しくは斎藤さんのインスタグラムをご覧ください。

https://www.instagram.com/urabetti174/

 

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koginbank編集部 text・photo:石井






 


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