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糸を作る〜自分で糸を染める〜

2018.12.22


夏からはじめた糸作り、最終回はオリジナルの多色染めに挑戦します。
この糸づくりにご協力いただいた、西陣絣の絣加工師・葛西さんから、絣加工でも使われる2色染めの方法を教えてもらいました。手芸品店でも手軽に購入できる家庭用染料で簡単にできるのだそうです。

絣織は数色に染め分けた縦糸で模様を構成し、柄布をつくります。この模様を構成する縦糸の染め方にはいろいろありますが、中でも比較的簡単な方法に三つ編み染があります。トップの画像は職人さんに三つ編みで染めて貰ったサンプルの糸です。この糸は、下の画像のようにベース色(黄色)に染めた糸を三つ編みにして上染の染料液(朱色)に浸けて2度染めしたもの。そうすると染め上がりは、三つ編みの内側に入った部分は染まらずにベース色が残っているので、上の画像のようなグラデーションの糸が出来上がります。

 

 

説明では簡単ですが、2色の斑具合の調整や色の合わせ方は難しいものです。特に色は、2色が混色しても変な色にならなければ良いのですが、混色がどんな色になるかの予測は素人では難しいのではないでしょうか。このサンプルを依頼した時、こちらから2色を指定したのですが、職人さんはもっと細かく色を分析して提案してくれました。自分の考えの及ばない部分を見極めてくれるのは、その道のプロだからこそです。未知の世界を披露してもらえたようで感心しました。

この三つ編み染め、要は特別な道具を使うことなく染め分ける発想から生まれた方法。三つ編み以外にも結んだり捻ったり他にも方法があるのでいろいろ試してみようと思います。

 

 

まずは色を決めます。選んだ染料はこの2色。

桂屋ファイングッズ コールダイホットECO みや古染 グレージュオリーブグリーン

この2色の色合わせは正直自信がありませんでした。混色がどんな色になるのかの想像がつきません。無難に作りたいならば同系色の濃淡で色をセレクトするべきですが、この2色を見た瞬間、迷彩色が作れそうだと思いまして。実験は大胆にいきたいと思います。

 

 

道具は糸を染めるパスタ鍋と菜箸、染料液を作る小さい容器、鍋から糸を上げるとき用にバットとザルを用意しました。糸を染める鍋は少ない糸でも、染料液の中で糸が泳げるくらい大きい鍋がおすすめです。あとは、染めた糸を干すスペースが必要です。

 

 

糸は85g用意しました。今回使った染料は1パックで250gの布を染めることができる量ですが、糸の量は約1/3なので、染料や使用水量はすべて説明書の1/3の量で染めました。

 

糸を2色で染める時の色の間隔は、編む糸束の太さで変わります。市販のものはだいたい15〜20mの長さの糸が束になって販売されていますが、この量では色の間隔が狭く細かい模様になります。今回は2色の間隔を適度に確保したいので、編む糸束の太さを太くするために、市販の糸2〜3束分を1束にして染めました。

 

商品の糸は上の画像中央にあるように捻じってまとめられた状態になっていることが多いですが、これを解くと糸は画像に広げられているように輪の状態になっています。この状態を綛(かせ)と呼んでいます。

 

まずはグレージュの色で下染に入ります。

下染は糸全体を染めるので、糸の束を解いて輪の状態(綛の状態)で染めます。染料の説明書にしたがって濃縮染料液を作り、お湯を沸かした鍋にその染料液を入れ、糸を浸けます。

 

 

鍋の中で糸を泳がすように、でも綛が乱れないように箸でかき混ぜます。染料液に浸かっていても、糸と糸が重なり付着している部分は染まらず白く残る場合があるので、鍋の中で細目に糸を泳がせます。

 

鍋から上げた糸は蕎麦みたいでした。
染料の説明書に記載の染め時間で浸けた後は、糸を鍋から上げて洗い、一度乾かします。

 

上手く染料を浸透させないと、上のように染めの濃淡が出来上がってしまいます。ですが、ここから更に色が重なるので、この程度の色ムラは気にしません。

 

この後は糸を編んで染めるわけですが、2色の色目の調整は編みこむ力加減にあります。2色の色目をくっきり見せたいときはキツく編みこみます。編みこみが緩いと、上染の染料が編み目の奥まで浸透しやすくなるので、下染めの色が曖昧な仕上がりになります。色目をくっきり見せるためにキツく編むには、糸が生乾きの状態だと扱いやすいです。

しかし、三つ編みなんて普段することのないので、三つ編みをキツく編む要領がわかりません。なので、他に色目をくっきり作る方法も教えてもらい、今回は三つ編みの他にもパターンを作ってみました。

 

上は、上染前の糸。右上から時計回りに

捻じってまとめた糸:購入した糸を解かずそのまま染めてみる想定。緩めに捻じられている。

束を指で鎖編みの輪にした糸:三つ編みよりもキツく編める。

三つ編みの糸:三つ編みの両端は編みが解けないように余分な糸で縛りました。

結んだ糸:4つの方法の中で一番色目がくっきり出る方法。結び目は固く結んである。

これらの糸は、輪の状態を1本の束にして鎖編みにしたり、さらにその束1本を折って2倍の太さにして三つ編みや結び目を作りました。捻ってまとめた糸は以下のように作ります。

 

 

糸の輪を二重にして両端をつまみ、一端を固定して片側からぐるぐる糸をねじります。

少しキツ目にねじり、両端を合わせると、左下のように自然にねじり絡まります。

 

 

今度は、この絡まった状態が解けないように、上の画像中央のような、一端の先に輪を作り、そこにもう片方の端先を通し、画像右側の状態にします。これで解けません。完成です。

 

 

上染の準備が整いました。

オリーブグリーンの染料液をつくり、糸を浸けていきます。

 

編んだ糸を染料液に浸けるときのポイントは、直前に糸をぬるま湯に浸け、絞らずそのまま染料液の鍋にいれること。乾いた状態で染料液に浸けこむと、糸にはスポンジのように急速に染料が浸透していきます。水分を含んだ状態で染料に浸けることで、染料が糸の奥に浸透するスピードを遅らせ、染める時間の調整で色目の加減の作ることができます。

 

 

染めの時間は長すぎると編み目の中奥まで染料が浸透してしまうので、上染の時間には少し慎重になったほうが良さそうです。今回使った染料では説明書通りの時間で染めると、染料パッケージの見本色より濃いめの色に仕上がるので、染め時間を半分に短縮してみました。

 

染料液から糸をあげてみると、緑というか黒い。

この後は、洗って絞り、編み目を解き、綛の状態に整えて干します。
色の違いが分かりにくいのですが、よくよく見ると、一番右側の結び目を作った糸が一番色目がはっきりしています。

 

画像の左から、捻じった糸・鎖編みの糸・奥にサンプルの糸・三つ編みの糸・結び目を作った糸

 


乾ききると、少し色の違いがクリアになりました。

実はこの糸染め、途中の工程を一つ抜いてしまいました。それは、上染直前の糸をぬるま湯に浸ける工程です。この工程をちゃんと経ていたらもう少し色目がくっきりしたのだろうにと今は後悔しています。

 

因みに、下の糸は堅牢染の糸を捻じったパッケージのままグレージュ色の染料液に浸けてみた糸です。市販のカラー糸に重ね染めする方法もあります。

実際に刺してみました。画像の上部分と下部分とで色味が少し違います。上の方は説明書通りの染め時間で浸けた糸で、下の方は染め時間を半分にして浸けた糸です。

最初はどう仕上がるのか不安でしたが、カーキのグラデーションが綺麗に作れたかな。初めてにしては満足な仕上がりができました。染め上がりのグラデーション具合は精密にコントロールできる染色方法ではないので、上染前の編んだり捻ったりする加工は、予測できない仕上がりを楽しみに、いろいろな方法を見つけて試してみるのも良いと思います。また、2色の色間隔が不規則で細い糸は、大きな模様を刺すときに、その色むら具合が作品全体の色味に奥行きを出してくれると思いました。

 

 

染色はもっとじっくり時間をかけて染め上げるものと思っていましたが、家庭用の染料は染め時間が數十分で出来上がるので、今回のような二度染めでも2〜3時間で仕上げることができます。これから冬休みに入るお子さんと一緒にいろんな色で楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

koginbank編集部 text・photo:石井、協力:葛西郁子

 







 


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