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ブランデュー弘前FC
桜色のこぎん模様再び

2024.04.22


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koginbankでは2018年に弘前市を拠点に活動する社会人サッカーチーム ブランデュー弘前FC のユニフォームにこぎん刺しの模様をデザインし提供しました。

「桜色のこぎん模様(2018.6.16)」 

今年は数年ぶりに再びこの模様をユニフォームで纏い試合に挑むとのこと。今シーズンのユニフォームは躍動感ある強いラインが印象的ですが、その背景にあるこぎん模様には地域と共に歩みを進める思いが込められています。2018年以来サッカーの世界でこぎん刺しに向き合ってきたブランデュー弘前FCにお話を伺いました。

伺ったのは、株式会社ブランデュー弘前 代表取締役の西澤雄貴さんです。

ブランデュー弘前FC とは

ブランデュー弘前FCは2012年にNPO法人 弘前Jスポーツプロジェクトがスポーツを通じて明るい豊かな地域社会づくりに寄与することを目的として設立したサッカーチームです。2019年には、Jリーグ昇格を見据えた体勢を整え、株式会社ブランデュー弘前が運営法人となり、現在はアマチュアの東北社会人1部リーグで活躍しています。

ブランデュー弘前FCのエンブレには弘前の市章、桜と岩木山。マスコットキャラクターは白神の妖精ブラッフェです。
ブランデュー弘前FCのエンブレムには弘前の市章、桜と岩木山、マスコットキャラクターは白神の妖精ブラッフェ。弘前周辺の魅力がふんだんに詰め込まれています。

現在のアマチュアリーグからJリーグに昇格するには、全国各地域の1部リーグ優勝チームと全国地域サッカーチャンピオンズリーグで戦い上位2チームに入らなくてはいけません。ブランデュー弘前FCは昨年、このチャンピオンズリーグに出場したものの、惜しくも1次ラウンド敗退。しかし、チームの力としてはJリーグが見えているのではないでしょうか。

とはいえJリーグは、試合での強さだけでは昇格できないのです。Jリーグは地域に根差したスポーツクラブとして、スポーツが生活の中に溶け込み、人々が心身の健康と生活の楽しみを享受することができるまちを、地域社会と一体となって実現できるクラブとしての規定を設けています。そのためクラブチームは、地域の中で自立したクラブ運営の成立が必要です。多くのお客さんを集め、地域とともに盛り上げていかなくてはいけません。

(参考)Jリーグ公式サイトより~Jクラブについて~

こぎんのユニフォームに託す思い

ブランデュー弘前FCがこぎん模様をユニフォームに採用することについて、ブランデュー弘前FCオフィシャルイヤーブックには以下のようにあります。

”こぎん刺しをユニフォームに織り込むことは、知恵を絞って苦難を克服してきた先人へのリスペクトと共に、これからのブランデュー弘前がどんな困難に直面しようとも知恵を出して克服しようという決意の表れでもあります。”

厳しい環境を知恵を絞って克服してきた先人の精神性を纏って自分たちの力にかえて行こうとしているように思えます。2018年に模様を提供した時に、西こぎんの背中に施す魔除けのさかさこぶではありませんが、こぎんの模様がお守りのように選手をバックアップしてくれたらと願いを込めて制作したことを思い出します。

2018年6月1日の陸奥新報
2018年こぎん模様をユニフォームに初採用した時の地元紙 陸奥新報

こぎんが潤滑油になる

ブランデュー弘前FCでは、昨年までの3年間、ユニフォームデザインを地元の高校生に募りコンペで採用してきました。これは、弘前で毎年開催される全国高等学校ファッション選手権大会(ファッション甲子園)が2020年にコロナ禍で中止となったことから、ブランデュー弘前が地元の高校生に発表の機会を提供したコンペです。青森県内の高校では、このために授業でこぎんの理解を深めて応募する学校もあったと言います。

2021年のユニフォーム、大胆な桜の花をこぎん刺しで

採用されたデザインの応募用紙を拝見しましたが、デザインの説明には模様の意味や背景がしっかり考えられており、審査をした選手やサポーターもこぎん刺しを新たに知る機会だったようです。今では毎年ユニフォームにこぎんがどのようにデザインされるか、選手やサポーターの楽しみにもなっています。また、チームには県外から移籍でやってくる選手も沢山います。彼らにとってユニフォームのこぎん模様は弘前の土地柄を最初に知る入口にもなっています。

いつかはJリーグの大舞台で弘前を代表するサッカーチームとして、ユニフォームにこぎん模様を採用するだけにとどまらず、チームに関わる地域内外の人を繋げる潤滑油にして地域に活力を創り、Jリーグ昇格の夢を掴むドラマをつくっている瞬間を見ているようでワクワクさせられます。

2022年のユニフォーム、弘前城に桜が咲くイメージで結び花のモドコを

地域文化としてのこぎんの活路

彼らがなぜこぎん刺しをユニフォームで纏うのかは、先に述べたように先人の精神性を自分たちの力にかえて行こうという想いがあります。

こぎん刺しは、平織の布に手針で横糸を通して創り出す模様の独自性に注目されることが多いです。しかし手芸で楽しむ人や、こぎん刺し製品を愛用する人、商品デザインにこぎん刺しを利用する人も、お話を伺うと多くの人が、資源の乏しい環境で丈夫で美しい布を創り出した先人の知恵や精神性に強く共鳴してこぎん刺しを取り入れています。

2023年のユニフォーム、袖口には縁起の良い矢絣模様を

こぎん刺しは復興から100年近くなりますが、人の生活が発展してきた中で民藝で評価された実用性は失いながらも伝統工芸として存続してきたのは、こぎん刺しが生きる術だった時代の人たちをリスペクトする思いの強さがここまで導いてきたのだと感じます。ブランデュー弘前FCのユニフォームは、こぎん刺しの地域の歴史を伝える側面を存分に活かし、地域文化を醸成していると言えるのではないでしょうか。

今年のブランデュー弘前FCは、4月28日からリーグ戦が開幕します。今年もまた1つJリーグに届く活躍を期待しています!

koginbank編集部 text:石井(画像提供:ブランデュー弘前FC)






 


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