銀座でkogin X’mas!
あっと言う間に2020年も残すところ数日となりました。 見通しが立たないコロナ禍にあって、世の中のクリスマスは今までになく静かな賑わいですが、東京・銀座ではこぎん刺しのモドコ(モチーフ)がクリスマスを彩っています。
2020年の東急プラザ銀座のクリスマスプロモーションは「Xmas Crossing ~交差が織りなす出会いと繋がり~」と題し、kogin.netを展開するグラフィックデザイナーの山端 家昌さんとのコラボレーションで、津軽こぎん刺しの伝統的な柄「kogin」をモチーフにしたディスプレイによるクリスマスイルミネーションを展開中です。
ヒトとヒト、ヒトとモノの出会い・繋がりを提供する東急プラザ銀座は、“交差”、“ × (クロス、かけわせる)”という今回のテーマから、糸と布が交差し紡いでいく「こぎん刺し」、そして日本の伝統工芸を様々な分野と交差させ、「kogin」という新しい形として後世へと受け継いでいく山端さんの活動に共感し、コラボレーションが実現しました。
koginbankでは、山端さん直々にご案内いただきクリスマスイルミネーションの全貌を見てまいりました。このイルミネーションには伝統のモドコ(モチーフ)と新たに作成したクリスマスモチーフが10種類ほど加わり館内のクリスマスを彩っています。
メインフロア入り口には山端さんより大きいkogin treeのポスターが。このkogin treeを実際にこぎん刺しで制作されている方は多いのではないでしょうか。こぎん刺しの話題をチェックしていると、ここ数年は必ずこの時期にいろんなカラーのkogin treeがSNSで目に留まります。結構な大作ですよね。このポスターの大きさに改めてこぎん刺しでの制作にトライする強者のみなさんに感服しました。
館内各所のクリスマスツリーやリースにはモドコのオーナメントがクリスマスを装っています。日本の文化がこの中に入っているなんて気づかないくらい馴染んでいて素敵なのです。こぎん刺しを知らない人には教えてあげるとびっくりするでしょうね。
また、3つのフロアにはテーマに合わせたファンションと雑貨のクロスコーディネーションとこぎんモチーフを融合させたディスプレイ展示もありました。
クリスマスに因んだ3つのテーマに合わせてこぎん刺しの模様がファッションを引き立てています。
ディスプレイのライティングと合間って、床に落ちる模様の影も綺麗でしたよ。
クリスマスプロモーション特設サイトでは、クリスマスモチーフの図案のダウンロードもでき、こぎん刺しのオンラインワークショップもあったり、銀座に脚を運べない方にもこのクリスマスを楽しんでいただけます。特設サイトの煌きもクリスマス気分を高揚させてくれます。
東急プラザ銀座の外観ファサードは江戸切子をモチーフにした凹凸のあるガラスのファサードが特徴的で、そこにひし形のこぎん刺しの数々のモチーフが綿雪のようにゆっくり煌きながらおりていくイルミネーションの様子は、彫刻を見ているようであり、洗練された大人の街へ入っていく気分が高まります。
でも、昨年までの賑わいを知っていると、この静かな年の瀬はちょっと寂しい気持ちです。たくさんの人の目に留めてもらいたいけれど‥。なんともどうしようもない気持ちに締め付けられる感じもあるのです。そしたら山端さんが「コロナがあったから、こぎんがこの企画に繋がったのかもしれない。」と教えてくれました。この企画の話をいただいたのは7月のことでした。
振り返ってみると、コロナがなかったら今年は東京五輪が開催されていました。外国人観光客が溢れ、銀座では日本語が聞こえないくらい賑わっていたでしょう。コロナがなかったら、今見ている銀座は全然違う様子だったのでしょうね。こぎんの模様がここに彩ることもなかったら、この静かな銀座の乙な景色も味わうことはなかったかもしれません。こぎんに光が当たったのはこんな時だからこそ、嬉しいニュースです。
雪国の貧しい農民の生活から生まれた文化が、世界中の高級ブランド店が並ぶ華やかな銀座で光となり昇華される様子は、個人的にはなんとも爽快で、それを静かにじっくり見届ける体験は贅沢なひと時でありました。2020年は盤石だと思っていた存在の脆さを垣間見、大きな変化を予見させる一年でもありました。多くの人にとって、先の見えない暗くて重くて厳しい状況ではありますが、これから少しずつ解放され、新たな活気と賑わいに光り輝く日々が早く来て欲しいなとこぎんの光に願います。
このクリスマスイルミネーションは12月25日までご覧いただけます。
東急プラザ銀座 クリスマスプロモーション特設サイト
https://ginza-tokyu-plaza-2020christmas.jp
山端さんのデザインプロジェクト