こぎん刺しの 枠模様 をマスターしよう!

ここ数年は、夏が近づくと無印良品のジュートバッグにこぎん刺しや菱刺しの模様が映えた素敵なバッグを目にします。今年も既に皆さんあのジュートバッグに腕を振るっている様子をあちこちで見かけるようになりました。さて、先日最寄りの無印良品に行ったら冒頭の手頃サイズのジュート巾着バッグを発見!野菜保存用の巾着バッグです。ジュートバッグと違って裏にフィルムが無く、手軽にカスタムできました。モドコDBのモドコに 枠模様 を加えると、ワンポイントもちょっと華やいだ雰囲気になります。
枠模様 とは
枠模様 は、古いこぎん刺しの着物に見られます。基礎となる小さな菱形のモチーフ(モドコ)の周囲を枠取りするように模様を入れ、大きな模様に展開していきます。

枠模様 の種類
枠模様 として使われている模様は大きく4種類あるかと思われます。
① モドコを並べた連続模様。
② 隣り合うモドコの1辺を共有する重ね模様。
③ 間隔を保って並んだモドコの一辺だけを繋いだ繋ぎ模様です。
これらの枠模様は、数段の糸目の構成を繰り返して枠模様を構成するため、中に配置できるモドコが限られます。

④ 糸流れの枠模様は、使えるモドコを限定せず自由にサイズを変えることができます。
この糸流れの枠模様はとにかくよく使われていて、古い着物の中には、この枠を何重にも回して模様展開を図っているものもあります。シンプルな構成ですが渦巻の求心力のような、なんかスゴイ雰囲気を出せます。

枠模様、どれに使える?
枠模様にどんなモドコが配置できるか、カチャラズの連続枠模様の最小サイズからサイズを少しずつ大きくして考えてみます。
カチャラズの連続枠模様の場合
枠模様として並べたときに、五筋のカチャラズを1辺に2つ並べたものが最小サイズになりますが枠の中は1目しか空きません。枠模様と中に入るモドコの間は必ず1目以上空かないと、枠とモドコが融合してしまい枠模様が成立しません。(①)
次にカチャラズを1つ増やして1辺に3つ並べました。枠の中の一番広い中央は7目空いています。枠模様と中に入るモドコの間は必ず1目以上空かなければ成立しないので、この場合は、目立てが5目のモドコを配置することができます。これが枠模様として最小サイズになります。(②)

さらにカチャラズを増やして、1辺に4つ並んだ枠模様を考えてみます。枠は上下左右対称の模様なので、上半分だけで考えることができます。枠に並ぶカチャラズが1つ増えると、模様の高さは3段伸びます。(③)
こぎん刺しの模様は1段ごとに1目ズレて模様を構成するので、縦に3段伸びると、横に3目広がります。
この広がりが両端部に発生するので、枠のカチャラズが1つ増えると、枠の中は6目広がります。
カチャラズの連続の場合、配置できる最小のモドコは目立て【5】目なので、この枠が使えるモドコの目立ては【6の倍数+5】になります。

目立ての35目は【6x5+5】なので、カチャラズの枠模様がそのまま配置できますが、アレンジを加えて、モドコを3筋の糸流れで囲んでカチャラズの連続枠模様で枠付けしてみました。
3筋の糸流れを付ける場合、隣り合う模様間の空きも見込んで目立てを最低(3+1)x2=8目増やさなければなりません。8目から6の倍数にするために、3筋の糸流れとモドコの間を3目空けて(3+3)x2=12目、目立てを増やすことにしました。35+12=47目(=6x7+5)となり、カチャラズの連続枠模様を配置することができます。

花コ繋ぎの枠模様の場合
花コ繋ぎの枠模様はレースのようでロマンチックな雰囲気を作れます。この枠模様のサイズ展開はどうなるでしょうか?

枠のモチーフが1つ増えると、両端で5目増え、目立てが10目増えます。最小の枠には、目立てが【1】のモドコを入れることができるので、この枠に入るモドコの目立ては【10の倍数+1】で求めることができます。
枠に使うドモコは、石畳やネズミの歯など他にもいろいろあります。また、枠の中に収めるモドコも今回の例のように糸流れの枠を重ねたり、モドコを4つ並べたり、枠の中にもいろんなアレンジができますよ。ぜひこの機会にオリジナルのこぎんモチーフを見つけてみてください。
枠模様を考えるときには、kogin NOTEBOOKおススメです!こちらもぜひご利用ください。

因みに、今回のジュート巾着に使った糸は吉祥寺のAvrilで購入したニットです。この季節はいろんなコットンヤーンが並んでいます。ジュートの布目は普通のこぎん布より少し粗いので太めのコットンヤーンを使ってみるのも良いかもしれません。
<参考文献>
みちのくの造形刺しこぎん 基礎模様・単位の形成法/弘前市立博物館編(1996)
『津軽こぎん』横島直道 編著 日本放送出版協会(1974)