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こぎん刺しの楽しい!かわいい!を発信 こぎんマガジン

こぎん作品展示会@watashi_to_kogin_to

2020.07.17


6月、インスタグラムでアカウント@watashi_to_kogin_toが開設されました。このアカウントは、青森にあるこぎん刺し教室に集う人たちの作品を紹介しています。大きなこぎん刺しの大作から小さなかわいい小物まで、いろんなこぎん刺しを楽しめて見応えあるアカウントです。このアカウントを立ち上げた青森のこぎん刺しユニットこぎん刺し 三つ豆の工藤夕子さんにお話を伺いました。

こぎん刺し 三つ豆は工藤さん、工藤さんのお母さんと伯母さんの3人で、こぎん刺しと刺し子の作品を制作するユニットです。現在はお母さんも伯母さんも目の病気のために制作はできませんが、それでも定期的に集まって工藤さんと一緒に雑巾やふきん作りに手を動かし、おしゃべりしながら三つ豆の活動を続けています。

 

 

工藤さんは昨年、一昨年と、自ら講師を務めるこぎん教室の生徒さんたちと、こぎんフェス会場で作品展示を行っていました。今年は春のこぎんフェスの開催に併せて、弘前の街を歩きながらこぎんを楽しんでもらうべく、教室の場であった集会所indriyaでの作品展示を予定していましたが、COVIT-19の影響で青森県内ではこぎんフェスに限らずあらゆるイベントが中止となりました。そのため、予定していた展示も開催を見送り、別の発表機会を探っていた中、今回のインスタグラムでの作品発表となりました。

 

 

@watashi_to_kogin_toでの作品発表は、弘前市の集会所indriyaの教室に集うメンバーによって行われました。

作品展のタイトルは「私とこぎんと○○と」。

〜 こぎん刺しをはじめたきっかけや好きな理由も人それぞれ。そして好きな色や作風もそれぞれ。みんな違ってみんないい〜

初心者であろうがベテランであろうが、自分のできる範囲で楽しんでいる様子。一人一人の制作に人柄が出るこぎんの魅力。こぎんを介して互いに受け入れながら、自然に楽しい教室をみんなで作り上げている様子がこの一文から感じられます。

 

 

––このインスタにのための撮影会をした時、みんなで撮影したり協力しあって作業している様子を見て「家族みたいだね」って言った方がいるんです。それを聞いて本当にうれしかった。家族や仕事から離れて過ごす時間にも、お互いを認め合う家族みたいな存在ができるんだなぁってジーンときました。––

工藤さんが教えてくれた集う人たちのこの仲睦まじいエピソードに、直接お会いして取材してみたかったなぁと、今ちょっと悔しいです。残念なことに、この教室は3月で終了してしまいました。

 

 

2014年にこの教室をはじめた時は、経験の浅い自分が教えていいものかと悩んだ工藤さんですが、やってみたいという人には教えられると思い、講師を引き受けました。当初は青森県外から嫁いで来た人や、転勤族の人が青森にいるからこそやってみたいと、初めて体験する方が多い教室でしたが、次第にこぎん刺しに慣れた人も参加し、こぎん好きが集う場所になりました。

 

工藤さん自身も回を重ねるうちに、技術だけじゃない、伝えられることを増やしたいと、日々こぎん刺しを深めることを意識するようになりました。教室では用意した制作キットでこぎんを楽しむもあり、持ち込んで制作するも良し。当初の制作キットは、しおりだけの用意でしたが集う人たちの要望に応えてバリエーションを増やすうちに、最終的に20種類にまでなりました。

 

 

このピンクのこぎん刺しフレームは工藤さんの作品を見た生徒さんのリクエストで教室の制作キットになりました。いろんなピンクでこぎんの模様がモリモリっとかわいくて、こぎん刺しができる人は見ただけで腕がウズウズしちゃうのではないでしょうか。このキットは工藤さんの作品名から『盛桜』という名前がついています。

 

上の作品展示の様子は一昨年のこぎんフェスです。この時の来場者からのリクエストで教室メンバー以外の方も購入できるようになりました。昨年のこぎんフェスでは全国から制作された盛桜作品を募って展示しました。今年もキット購入者にお声がけして展示する予定が残念ながら実現には至りませんでしたが、@watashi_to_kogin_toではこの盛桜もご覧いただけます。

 

 

インスタグラムで紹介されている作品の中には大作がいくつかありました。これら「おばさまコレクション」は生徒さんのご親戚の作品です。高齢となり現在は制作はされていませんが、昔は教室に通い数々の制作されたそうです。教室のみんなとこの作品鑑賞をした時は歓声がすごかったんだとか。それぞれの作品に向かうとてもいい刺激が得られたようです。せっかくなので全国の人にも見てもらおうということで、教室の作品とともにインスタグラムで紹介しています。

 


@watashi_to_kogin_toの投稿にはそれぞれ制作者のコメントがあります。読むと、毎日の日常が楽しくなるように。身近な人が喜んでもらえるように。制作の中に使い手の幸せを願う気持ちが、どの作品にも宿っているように思えます。

 

こぎん刺しは、名もなき農民が衣類の防寒・耐久性をもたせるために布地に刺し子を施す機能美があり、民藝の代表格でした。しかし、この機能は生活の進化とともに必要がなくなってしまいました。着物から手芸に変わった現代のこぎん刺しは民藝と言っていいのだろうか、今のこぎん刺しの民藝としての存在価値はどこにあるのだろうと考えます。

 

かつて柳宗悦が雑誌「工芸」でこぎんを紹介した文章では、こぎん刺しの作り手である女性たちをすごく労い讃え、フィーチャーしているのはこぎん刺しじゃなくて人なんじゃないかと感じます。それと同時に、民藝は美を持つ物のことだけではないと思うのです。手を動かしながら作り手の感情の中に湧き上がる健やかな想いは民藝の重要な要素なのではないでしょうか。作る楽しさや使い手に馳せる想いは今も昔と変わらずこぎん刺しに宿っていることをこの作品の数々を見て思います。

 



東京や海外でもこぎん刺しワークショップの経験がある工藤さんですが、青森ではこぎんの経験がなくても身近に見知っている人が多いので理解が早く制作が進みますが、他の土地では全くの未経験者が多く、限られた時間で図案の見方や刺し方を理解することで精一杯なんだそうです。でもフランスでは皆さんすごく関心を持ってくれて熱心に質問やメモされていました。

 

こぎん刺しの図案見る方はご存知かもしれませんが、図案の表現方法にはいくつか種類があります。理解しやすい図案をと、罫線を跨いで模様を表記するタイプの図案を用意したけど、グリットのマスを埋めて模様を作って行くタイプの図案の方がフランスの人には理解してもらいやすいという発見もありました。他の土地で教えることは初心を呼び戻してくれます。

 

海外では「刺し子-sashiko」の知名度はあるのですが、「こぎん」は全くといっていいほど知られていません。「kogin」が世界の共通語になるといいですね。と最後に伝えてくださいました。

 

世界中のkoginファンが、こぎん刺しのいろんな魅力を堪能できるアカウントです。
制作のインスピレーションも得られるかもしれません。ぜひご覧ください!
現在、教室の皆さんやこぎんに関わる方々が書いたエッセイ集を作成中なのだそうです。完成の際はインスタでお知らせするとのこと。こちらもお楽しみに!

インスタグラム@watashi_to_kogin_toのプロフィールはこちら

テキスト:koginbank編集部(石井)、テキスト・画像協力:工藤夕子






 


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